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鍋島 邦彦
統計数理研究所共同研究リポート68, 0, p.43 - 52, 1995/03
複雑な原子炉システムのモデル化を、ニューラルネットワークによって行い、そのモデルを用いて原子炉の異常診断を行った。原子炉は、燃料が燃焼するにつれて炉の特性が変化していくため、燃料サイクルの初期と終期において同じモデルを使用することはできない。そこで、初期学習において、典型的な運転パターンを学習した後、実際の診断を行いながら、同時に最新のデータを学習させることによってネットワークの内部構造を変化させ、常にその時刻に最適なモデル化が行えるようにした。その結果、非常に広範囲な出力範囲において、微小な異常徴候も検知することができた。
林 光二
統計数理研究所共同研究リポート68, 0, p.31 - 41, 1995/03
原子力船「むつ」で行った不規則外乱による動特性同定実験の解析に関するものである。反応度外乱、負荷外乱時及び自然状態の炉雑音データに対して自己回帰モデルを用いた解析を行った。静穏海域での実験データから、海洋波のプラント動特性に及ぼす影響としては、波周期20秒及び6秒の支配的な成分が船体振動、原子炉プラント構造物の振動をへて、各蒸気発生器の圧力、水位等に現われることがわかった。さらに、2基の蒸気発生器と1基の加圧器間で強いフィードバック経路が存在し、波の影響は各圧力信号や水位信号の特定の周波数上にピークを作っていることも明らかになった。しかし、これらのピーク成分は中性子動特性上重要な周波数帯域より上側にあるため、炉出力変動そのものにはほとんど影響を与えてないことがわかった。